難病にかかった30代男性のその後

難病にかかった30代男性がその後の生活をどう生きていったかを記録するものです。日常生活で感じたこと等を発信していきます。

私の身近な事件

 少し前のことになりますが、私の仕事と非常に関わりの深い、関わりが深いというより、ほぼ同じ仕事をしている方がテロに遭われ、亡くなりました。

 

 それは、バングラデシュ、ダッカで起きたイスラム国による日本人殺害事件です。

 

 まずはじめに、簡単に私の仕事を紹介させていただきます。私は一般的にはあまり知られていませんが、建設コンサルタントという職業に従事しています。建設コンサルタントとは、主に、国や地方自治体といった官公庁を顧客とし、開発・防災・環境保護等に関して、調査・計画・設計を実施する事業体または個人のことを指します。私はその建設コンサルタントを生業とする会社に勤める会社員です。

 

 そして、今回のダッカで起きた事件で亡くなられた方々も同じ建設コンサルタントの方々です。若干違いはあります。それは私が国内、主に日本国内の事業に対してコンサルティングをするのに対し、今回亡くなられた方々は主に海外の事業を中心にされており、日本国内では、開発コンサルタントと呼ばれている方々です。

 大きな違いはありませんが、開発コンサルタントの方が守備範囲が広く、事業全体のマネジメントを含むのに対し、建設コンサルタントは事業全体を包括的にマネジメントすることはまれです。

 

 今回の事件を聞いた瞬間は非常にショックでした。というのも私も国内を中心に働いているものの、仕事によっては海外に行くことがあり、数は非常に少ないですが、プロジェクトに参加したことがあるからです。しかも、イランやパキスタンといったイスラム教徒の国に行き、そこで一緒に仕事をしたこともあります。

 その数少ない経験からではありますが、イスラム教徒の方々は非常に日本に対し友好的であり、穏やかで思慮深く、勤勉な印象を持っています。イスラム教徒といってもひとくくりにはできないのだと思いますが。

 

 そして、今回亡くなられた方々も私と同じような印象を持っていたのではないかと想像します。これまでに、開発コンサルタントの方とお話しする機会がありましたが、皆さん共通して同じ思いを持っていらっしゃいます。

 

 それは、発展途上国の困っている方々を助けたい、すこしでも役に立ちたいという思いです。

 

 その思いだけで、日本と比較すると、治安が良くなく、環境も良くない国に行き、情熱を持って仕事に取り組まれていたと思います。私にはそこまでの強い気持ちは正直ありません。なので、開発コンサルタントの方々を尊敬しています。

 そんな中、今回の事件について調べるとSNSを中心にネット上で、非常に残念なことがありました。

 

 それは、日本国内の反応です。

 

 私が見たもので、印象に残っているものを以下に挙げます。思い出すだけでも吐き気がし、苛立ちと憤りを禁じえません。

  • あんな危ない国に何しに行ったんだ?バカじゃね?
  • 「私は日本人だ、撃たないでくれ」だって、助かるとでも思ってんの?
  • そんなこと言っても通じる相手じゃないでしょ、諦めたら?
  • 笑えるコイツら。

 同じ日本人として残念でなりません。私も同じ日本人です。そして亡くなられた方々もまた日本人です。海外から見ると同じ日本人なのです。私たちがイスラム教徒とひとくくりにしているのと同じです。

 

 「私は日本人だ、撃たないでくれ」この言葉は忘れられません。私がその場にいたら同じことを言ったかもしれません。それは先に書いたように、イスラム教徒に対する私の印象、認識があるからです。そうでなくても、死にたくない一心で同じようなことを言ったかもしれません。

 

 ネット上で好きかって無責任に発言する方々はなんと叫ぶのでしょうか。それとも何も言わないのでしょうか。もし何も言わないとするともうすでに心は死んでいるのではないでしょうか。

 

 最後に、亡くなられた方々に心からご冥福をお祈りいたします。そして、その思いは必ず後世に伝えられるはずです。また、亡くなられた方々の身近な方々、遺族の方々をはじめ、親友、恋人、仕事仲間にもお悔やみ申し上げます。