難病にかかった30代男性のその後

難病にかかった30代男性がその後の生活をどう生きていったかを記録するものです。日常生活で感じたこと等を発信していきます。

資格は何のために取得するのか

 今回はキャリア形成の一環で、皆さんもがんばっていらっしゃる方もいるであろう、資格取得に関して、私が思うことを書きたいと思います。

 

 それは、資格取得は「取ることが目的ではない、その過程とその後が大事」です。

 

 まあ、当たり前と言えば当たり前なんですが、周囲の人と話していると、そもそもの本来の目的を見失っていないか?と思うことが多々あります。

 そういう私も資格が取ることが目的になっていた時期があります。もう少し厳密な言い方をすると、資格取得は「目標」であって「目的」ではない、と思っています。

 

 どういうことかというと、資格取得はある目的、つまり、自分が成し遂げたいこと、自分の願望や欲求を満たすための一つの手段に過ぎず、目的を達成するための途中に設定される目標のはずです。

 でも、目の前の勉強のことばかりに気を取られると、いつの間にか、取得することが目的化してしまい、資格取得できた!やった~!で終わってしまうのです。非常にもったいない。そもそも何のために取得しようと思っていたのか、忘れてしまうのです。英語のTOEICや大学受験等も同じです。

 

 もう少し、具体的な例を挙げたいと思います。私の業界では「技術士」という資格を取得していることが非常に高い評価を受けることがあります。本当は、英語とか大学受験の方が皆さんにはなじみが深いと思いますが、ここは、少し技術士の認知度向上のため、ご勘弁ください。

 

 技術士とは、技術士法に基づく国家資格で、科学技術分野での最高位とされ、高度な技術力を持った技術者と認識されます。なぜかと言うと、科学技術に関する高等の専門的応用能力を必要とする内容に関する計画、設計、分析、試験、評価、これらに関する指導を行う者と定義されているからです。(技術士法第2条から引用・一部修正)

 もし、ご興味があれば、日本技術士会のHPや技術士法第2条をご参照ください。

 

 話がだいぶそれてしまいましたが、資格取得の話に戻ります。私も30代後半にさしかかりましたが、自分の専門分野に関連する部門や科目等、現在までに技術士の4つの科目を取得しています。

 受験のノウハウは別の機会にご提供します。はっきり言えることは、ある程度の実務経験があれば、誰でも受かります。20代でも十分に受かります。心構えと適切な方法で勉強すれば。

 

 またまた話がそれました。技術士を4つ持っているというと、皆さん、すごいですね、よくその若さで取れましたね、とか言われます。でも、それが何?って感じです。一定の能力があるというだけで、別にその資格を持っていたからといって、仕事ができることを証明しているわけでもないですし、何か独占的な業務ができるわけでもありません。

 じゃあ、なんでそんなに取るの?って思いました?決して趣味ではないですよ。私がこれだけ取得しようと思った理由は以下の通りです。

  • 資格取得に向けての勉強そのものが、自身の成長につながるから。
  • 資格取得した後も、実は自身の成長につながるから。
  • 私の場合、一つの専門分野を極めることにあまり興味がなかったから。
  • 会社が技術士を取れ取れとうるさいから。
  • ある分野で技術士を持っているおっさん達がえらそうだから、それを黙らせるため。

 と、最後の2つは完全におまけです。ちょっと悪趣味ですが(笑)最初の3つを1つずつ、少し解説を加えます。

 

 まず、1つ目ですが、これはそのまんまですよね。資格取得に向けて勉強するのですから、知識が身についたりして、自身の成長につながります。

 また、技術士特有かもしれませんが、技術士の試験では、これまで習得した知識や経験等を基に、問題を正しく認識し、課題解決のための対応策を計画・立案することが求められるような問題が出題されます。

 そのためには、必要な知識だけではなく、ある与えられた条件で、課題や課題を解決するためのボトルネックとなる問題を抽出し、問題に対する対策案を提案し、結果、課題が解決され、社会を豊かにすることにつながるというような提案とそのための思考能力が求められます。

 これは特別なことをする必要はないのです。日々の仕事をする中で、そのような習慣をつけ、意識的に、主体的に仕事をしていれば、勝手に身についていくと思います。ただ言われたことだけをしていたり、深く考えずに、自分がしている仕事がどう社会とつながっていくかということを意識していなかったり、作業的な仕事をしていると身につきません。

 

 次に、私にとっては、この2つ目が一番大きな収穫でした。これは、技術士という資格が定義っぽい所でも書きましたが、国家資格で、しかも科学技術の最高位であるという認識が一般的であることがその要因かと思います。

 理系の世界だけかもしれませんが、そのような認識があるため、周りからは、さぞかし素晴らしい技術力を持っているのだろうと思われるわけです。

 そうすると、実は意外とそうでもない自分に気づきます。これは特に若く、業務経験が浅い人に当てはまるかもしれません。そのため、さらに勉強することになります。でも、これが私にとっては、良かった。資格を取得した後もさらに成長すべく、日々精進していくことになるのですから。

 

 最後の3つ目は、完全に私の個人的な考えによるものです。個人的意見ですが、今は社会的な問題が非常に複雑になってきていると思います。それを解決する方法も一つではありません。そのためのアプローチも無数にあるのではないかと思います。

 そんな状況下で、ある専門分野から見れば、課題や問題解決につながることが、違う分野から見れば、逆に問題を引き起こすこともあるのではないかと思っています。そして、総合的に解決していくためには、複数の専門分野を有したものの目が必要なのではないかと思います。

 つまり、ある視点から見ると最適であっても、違う視点から見ると最適ではない。全体を俯瞰すると部分最適であり、全体最適にはなっていない。ということがこれからより一層顕在化するのではないかと思います。

 そして、住民や市民、地域の人々も多様な意見を持ち、何かをするときの合意形成は部分最適では不可能ではないかと思います。その時に、全体を俯瞰できる人間が一人でもいて、様々な代替案を提示し、意見の違いを明確にでき、少しずつ歩み寄ることができるような視点を持った技術者が求められるし、自分もそうなりたいと思っているため、複数の技術士の取得を目指したわけです。

 

 長々と書きましたが、資格取得は目標であって、目的ではない。私の例で言うと、目的はいろいろな側面から物事を見れる技術者になりたいという目的があって、複数の技術士を取得するという目標があるのです。

 

 皆さんが、もし、資格取得が目的になっていると感じたのであれば、私の例のように再度、自身がどうなりたいかを見直してみてはいかがでしょうか。

 そうすれば、資格取得のための勉強にも力が入りますし、短期間で取得することも可能になり、より早く自身を成長させることができるのではないでしょうか。

 良いこと尽くめじゃない?

 

 それでは、皆さんが少しでも良い一日を過ごせるように。