働き方改革の議論に欠けているもの
今回は最近読んだ本があり、それを読んで感じたことを書きたいと思います。
読んだ本は以下の本です。 いつくか共感できる部分もありながら、う~ん、そうかなぁ~と思う部分もありました。
ご興味のある方は読んでみて、自分なりにいろいろ解釈すると、おもしろいと思いますよ。そして、私も読んで感じたことがあります。
特に、あちらこちらで、聞く「働き方改革」の議論で、もっとも欠けているものです。
それは、「今の社会システムでいいのか?今の生活に満足なのか?」です。
なんのこっちゃ、飛躍しすぎててピンときません。おっしゃる通りです。展開してみましょう。少しお付き合いください。
本書では、以下のような構成になっており、私が特に共感し、感じた部分は第5章です。
- 第1章:日本人は、どれぐらい残業しているのか?(データを基に、他国と比較)
- 第2章:なぜ、残業は発生するのか?(残業が発生する要因の分析)
- 第3章:私と残業(著者の過去の残業実態の紹介)
- 第4章:電通過労自死事件とは何だったのか?(事件の経緯、社会へのインパクト、冷静な振り返り)
- 第5章:「働き方改革」の虚実(実施されている働き方改革の内容とその問題点を指摘)
- 第6章:働き過ぎ社会の処方箋(働き過ぎに対する対策)
第5章では、様々な会社で実施されている働き方改革とはどういうものか、そして、そこに潜んでいる問題点などが指摘されています。
たとえば、水曜日のノー残業日には、夕方になると電気を消し、半ば強制的に、退社させるといった取組、これが家への仕事の持ち帰り、サービス残業を助長させているのではないかという指摘です。
そのような側面はたしかにあると思いますし、皆さんの職場でも、似たようなことが行われているかと推察します。
著者の主張のうち、私がもっとも共感したのは、「そもそも仕事量が多い」という部分です。
そうなんです、皆さんもそう思っていませんか?
じゃあ、なんで仕事多いの?人材不足だから!日本は人口減少時代に突入し、今後は海外からも人材を獲得していく必要がある!ということをよく聞きます。
でも、少し待ってください。本当にそうでしょうか?たしかに人と仕事量のバランスはだんだんと崩れてきているように思います。
そういう意味では、人材の活用、より高度なマネジメントが求められるということは理解できます。
ただ、私が思うに、それは片手落ちです。なぜ、そちらの議論にしかならないのでしょうか。もう片方にも手を入れるべきではないでしょうか。
それは、仕事量が増えているということに対する対策です。どういうことかというと、まず、そもそも、本当に仕事量は増えているのか。
ここで言う仕事とは、本来、その人がやるべきこと、として考えます。自分の一日を振り返ってみてください。
- 本当に自分がすべきことに、どれだけの時間をかけられていますか?
- ふとしたときに、これは本当にやるべきことなのか、疑問に思ったことはありませんか?
- この会議する意味あるのか?と思ったことありませんか?
私は特に、定例会議や戦略会議などが多いと思っています。単純な話です。一度開催された会議は、なんとなく、惰性で続けていることが多い、これに加えて、そもそも明確なゴールを持っておらず、課題が次から次へと出てくるため、だんだん会議は増えていくのだと思います。
会議の話はまた、別の機会にして。
自分が本来すべき仕事に集中してもらいたいと思っています。さらに、もう一歩踏み込んでもらいたいというのが、私の思いです。
それは、今している仕事はどれぐらい社会的意義があるのか、つまり、どれぐらい社会から必要とされているのか、ということを考えてほしいのです。たぶん、あまり考えないでしょう、仕事が苦痛でたまらないという人は考えているかもしれませんが、考えたくないと心の奥底では感じているのかもしれません。
でも、是非考えてほしいのです。
なぜかというと、このままの生活を続けていくことに満足している人がどのぐらいいるのか、私には疑問で仕方ありません。
満足していますという人は、ほんの一握りなのではないかと思います。大半の人は、今の生活に満足しているとは思えないのです。さらに、今後も満たされていくとは思えないのです。今が満たされていないのに、将来が満たされるとはとても思えません。
特に、今の20代、30代の人たちは、生まれた時から、モノがあふれた時代でした。モノがなくて不便だという経験に乏しいのです。私もそうですが。なので、働く理由はモノで自分を満たすことではないのです。
では、何で、満たすのか、それは、コトだと思います。
コトとは、経験、つながり、ワクワク感といったところでしょうか。その、コトをしている自分自身を満たすように働きたいと思っているのではないでしょうか。そして、今の働き方はコトを満たすような働き方ではないという人が大半だと勝手にですが、思っています。
そして、そのような働き方しかできない社会とそのシステム、これを変えていくことが重要だと思います。
これも勝手に思っていることですが、日本は2020年の東京オリンピックが終わったときに、なんとなく、一つの時代が終わったという印象を持つ人が多いのではないかと思います。
その時に、自分は何をしているでしょうか、何をしていたいと思うでしょうか。
今から考えて、準備しておけば、2020年、自分の気持ちが路頭に迷うことがなくなるのではないかと思います。
皆さんはどういう世界を作りたいですか。その思いが未来を作ると私は信じています。
それでは、皆さんが少しでも良い一日を過ごせるように。